骨盤矯正について
2018.07.15
骨盤矯正について
治療院の宣伝で「骨盤矯正」という文言を、最近、よく目にします。それについて、よく質問も受けます。
「私の骨盤ずれてますか?」
骨盤は、左右の腸骨と、その間の仙骨という逆三角形の骨で、構成されています。
腸骨と仙骨の間に仙腸関節があります。
関節という名称はついていますが、肩関節や股関節といった、一般的な関節とは動きが全く異なります。仙腸関節は、動きはあるのですが、僅かな動きであり、一旦動く(ずれる)と、その状態で固定され、元に戻りにくい性質をもっています。
全ての骨格について言える事ですが、骨格のずれは、筋肉のアンバランスによって生じます。
骨格のずれが始まって、まだ日が浅い時は、筋肉の調整をするだけで、骨格の歪みは自然調整されますが、長期間に渡って、ずれがある時は、靭帯拘縮が始まっていますので(靭帯とは、骨と骨をつないでいる組織)、筋肉を調整するだけでは、自然自己骨格調整が無理の段階に入ります。その時は施術によって、力学的に骨格骨盤調整が必要になります。
臨床的に、いろいろな患者さんを観察していますと、骨盤が左右全くずれていない人の方が少ないです。
程度の差はあれ、左右不均衡の方がが多いようです。
左右のずれがあっても、ご本人が不快症状を感じていない場合は、あえて骨格骨盤調整を施す必要はないと考えます。
長い間の生活習慣で身体各部の使用頻度に違いがあり、各筋力に違いがあるのが当然であり、それにより病的でない左右非対称はあります。
例えばプロ野球のピッチャーなどの骨格がいい例です。
利き腕の手は、反対の腕より発達しています。よく使う所は、筋肉も骨格も発達します。(左右アンバランスになる訳です。)
とりたてて、特別な症状が現れていないのに、「骨盤矯正」という言葉に踊らされて、患者になる必要はないように思います。
筋肉の凝りを、そのままにしていますと、左右の不均衡は生じなくても、関節の可動性は減少してきますので、予防の意味でマッサージなどを受けて、筋肉をほぐす事は良い事だと思います。
ひとつ、お勧めしたいのは、出産された後の骨盤のケア。
赤ちゃんが産道を通るとき、骨盤の底部が開く必要があります。
しばらくしますと、正常の位置に骨盤の底部は戻る訳ですが、戻っていない方を時々見かけます。
骨盤の異常を、そのままにしておきますと、後々腰痛や尿漏れの原因になったりします。